ひよっこ科学者の備忘録

研究・アメリカ生活に関する備忘録。

イオンカウンティング法

二次電子増倍管で検出した二次イオンの個数について、電流値の観点から考えていなかったのでおさらいする。

〈基礎事項確認〉
単位時間当たりに単位面を通過する電荷量を電流(A = C/second)と呼ぶ。

6.25x10^18個のイオンの電荷量が1C(クーロン)であるので、1個のイオンの電荷量は1/(6.25x10^18) =1.6 x 10^-19 (C)となり、非常に微弱である。従って、イオンの個数を電流値として読み取るのは一見困難に見える。

二次電子増倍管はn段の電極によって電子数を増倍し、電極によって増倍した電子流を取り出している。1段の電極で1個のイオンはおおよそ2~3個に増倍されるので、例えば20段の電極があれば10^6~10^9個にまだ増幅されることになる。

従って、イオン一個あたりの1.6 x 10^-19Cと微弱な電荷でも10^-13~10^-10Cまで増幅することができる。

ではここでひとつ例を考えてみる。
ある質量のイオンをEMで75秒間検出したとする。結果5 x 10^6個のイオンが検出された。電流値に変換するといくらになるか?

入って来たイオンの全電荷量は1.6 x 10^-19 (C) x 5 x 10^6(個) = 8 x 10^-13 (C)
よって単位時間あたりの電荷量は8 x 10^-13 (C) / 75 (s) = 1.07 x 10^-14 (A)

一般的に1秒間に100万個以下、つまり1.6 x 10^-13 (A)以下の微弱なイオンビームはEMによって検出する。

(イオン数が多い場合)
電圧パルスのカウンティングを用いる場合、複数のイオンが短時間の間隔で侵入して来た際、前に侵入して来たイオンのパルスが減衰するまでは後から入って来たパルスを認識できない。この認識できない時間を不感時間とよび、通常は数十ナノ秒である。

〈参考〉Nagao (2011). J. Mass Spectrom Soc. Jpn